きみといく道

「え~めんどくさいなぁ」
ウィズはことさら大げさに肩をすくめてちろりとバロンを見た
「そう言ってお前は1度も弟子を持ったことがないだろう
そろそろ指導者の風格も身に付ける時期だ」
だってさ~とウィズは口をとがらせる
「だって教えるとか、柄じゃないんだよね。そういうのは不器用な自信あるんだもん」
えっへんと腕を組みバロンを見やる
「自慢げに言うことじゃないだろう…」
ため息と共にバロンは呟く
「ともかく、本部からはかなりの素質を持った新人と聞いている。お前に託すから面倒みてやれ
これは決定事項だ」
「はいは~い。わっかりました~」
敬礼のポーズをとって、ひらひらと手を振り、退室するウィズに
「あいつ、すっぽかしやせんだろうな」
と一抹の不安をバロンはおぼえるのだった

バロンに連れられてやってきた期待の新人は緊張した様子で立っていた
歳は15~16歳だろうか?それとももう少し上か・・・
ともかく堅苦しい挨拶と敬語は自分には向かない。
もっとざっくばらんに話してくれていいし、自分のことも師匠ではなく名前で呼んでいいと伝える
最初は戸惑った様子だったけど、すぐにそれは受け入れられた
ふむふむ、順応性は良い方じゃないの。と魔法にはあまり関係ないとこをほめてみる
さてさて、ではまずは新人君のレベルを知らなきゃね
本部の方では一通りの知識は身に付けただろうし魔道具の扱い方も身に付けてるだろうけれど
精霊との契約は初体験の筈。
まずは初級の精霊との契約をさせてみる
自分は弟子を持ったことは無いので知らないが、他の者の話を聞く限りギルドに来る新人は初級レベルの精霊との契約はなんなくこなすと言っていた。
ま、彼も簡単にクリアするだろうと見ていたのだが・・・
何度やっても精霊は呼びかけに反応しない
「なんだ?かなりの素質だと聞いてたんだがな」
いささか肩透かしを食らったとでもいうようにバロンは呟く。同意を求めるように傍らのウィズに目を向けた
だが、そこにいるウィズの顔はいつもの陽気さが消え真剣な面持ちで新人を見つめていた
「怯えてる・・・」
「なに?」
「あの新人君の魔力が強すぎるのよ。精霊が怯えちゃって契約を拒んでるんだわ」
「なんだと?そんなことが・・・」
「私もこんなの見たことない。彼、何者?」
もしかしたら、彼は自分以上の魔法使いになるかもしれない。
ウィズはいつになくわくわくしている自分に笑みをこぼす
「あの新人君、しっかり指導するわ。彼がどこまでいくか見てみたくなった」
にゃははと笑う。
面白くなりそうだとウィズはこれからのことに胸を躍らせた

魔物を倒し、彼はふぅと息をついた。
依頼された魔物退治もこれで最後の一体。
「ご苦労様だったにゃ」
疲れた~と地面に腰をおろした彼の膝に飛び乗って労いの言葉をかける。
「だけど、途中で魔力が乱れたにゃ。もう少し一定の力で精霊とコンタクトを取るにゃ」
と師匠らしくアドバイスする。
少し疲れが出て魔力が弱まったかなぁと彼が反省する
(『疲れて魔力を抑えられなくなった』が正しいんだけどにゃ~)
この分じゃ、もっと上のレベルの精霊と契約させた方がいいかもしれないと思う
だが彼はまだ己の魔力を充分にコントロールできてない。
レベルの高い精霊との契約は一歩間違えば己にその力が返ってきてしまう
(ま、ぼちぼちいくにゃ)
きみと一緒に行く道はまだまだはじまったばかりなのだから。