魔道艇の甲板で魔法使いは少しばかり熱い息を吐いた。
連日の戦闘で魔力を使い続け、流石に疲れを誤魔化せなくなってきていた。
ウィズいわくの彼の強すぎる魔力は意図した魔力の自己抑制の中で使われる。
なにしろ、最初は彼の魔力を恐れた精霊が彼との契約を拒否した程なのだ。
彼の場合は内包する魔力をそのまま使おうとしたら圧倒的な魔力を見せつけ恐怖による支配で契約するしかない。
だが優しい彼には無論できはしない相談だ。
当然、単なる契約だけでなく魔力のコントロールという別の労力が必要になる。
それを連日繰り返すにはまだまだ未熟だ。気を抜けば魔力が暴走する
疲れが取れないまま次の戦闘・・・正直言って身体は悲鳴を上げかけていた
ここ数日、なんだか微熱のあるような身体の重さが続いている。
ならばこんな夜中に夜更かしなぞせずにさっさと寝るべきだ。
だが、人間疲れすぎるとかえって眠ることもできなくなるのか最近は不眠のような症状にも悩まされていた
今夜もベッドに入ったものの眠れず、外の空気を吸えば少しばかりは気も紛れるかとぐっすり眠るウィズを部屋に残し甲板へと出ていた
「貴君も流石に疲れが取れないとみえる」
突然背後からかけられた言葉にびくりと魔法使いの肩が揺れた。
こんな時間にこんなところにいる筈がない者の声におそるおそる振り向く。
そこには夜目にも端正な見目形のディートリヒがその尊大さを隠しもせず立っていた。
無意識に魔法使いは後ずさった。この男の氷のような視線には、どうしても慣れない
その様子にふっとディートリヒは口元に笑みを浮かべる
「貴君は私を見るとなぜそうも怯えるのかね?貴君を害す意図なぞ持ってはいないぞ」
後ずさる魔法使いにゆっくりと歩み寄る。
さながら、逃げる獲物を狩る肉食獣のようだと魔法使いは思う。
魔法使いの背に魔道艇の壁が当たる。それ以上の逃げ場を無くし近付くディートリヒを凝視するしか術がない
やがて彼の手がすっと魔法使いの頬に触れる。ひんやりとした感触にぶるっと魔法使いはかすかにふるえた
「ふむ。少し体温が高いようだ」
覗きこんでくるディートリヒから視線を外せない。
・・・・え?
一瞬、何が起こったのかわからなった。
ディートリヒの顔が目の前にきたと思ったら、唇に何かが押し当てられた。
それが彼の唇だと認識した時、逃げようとした顔は後頭部を支える彼の右手で、
距離を取ろうとした体は腰に回された彼の左腕で固定されて逃げることが叶わなかった。
抗議の声を上げようと口を開いたその瞬間にディートリヒの舌が侵入する
逃げる魔法使いの舌を追い上げ、吸い付き歯列をなぞる。
「・・・っふ・・・」
必死に逃れようとディートリヒの胸を押していた魔法使いの手が、やがて彼の服を握りしめ、そして力を失い始める。
口内を犯され、頭の芯が痺れたようになって意識に霞がかかる。
熱に浮かされたかのような曖昧さで何も考えられなくなる。
がくんと膝から力の抜けた魔法使いをディートリヒが支え、ようやく唇を解放される
「貴君には休養が必要なようだ」
解放された唇から荒い息を吐き出し、潤んだ瞳で己を見つめる力の抜けた魔法使いを抱き上げる。
「私が寝かしつけてやろう」
ふっとその端正な唇に笑みを浮かべた。
魔道艇のある1室のベッドの上に魔法使いは放り出された。
運ばれる途中でようやく思考回路が戻ってきた魔法使いは慌ててベッドから起き上がろうとしたが、それよりも早くディートリヒの腕が彼の両腕をベッドに縫い付けた。
そのまま、再び口づけられる。抵抗したくても、彼の舌が、唇が魔法使いの力を奪う。
魔法使いが口づけに酔い始めたのに満足げに目を細め、ディートリヒの指が魔法使いの服をはだけ、胸の突起をかるくつまむ。途端に跳ねる身体
抵抗しようと身体をよじれば、ことさら激しく魔法使いの舌を吸い上げる。それだけで彼の身体は震えた
口内を犯され、胸の飾りに快感を煽られ、ディートリヒが唇を離すころには魔法使いはくったりとベッドに身体を沈めて荒い息を吐きながらよどんだ瞳でディートリヒを見つめるだけだった。
その額にかかる前髪をはらい、そこにそっと口づけて徐々に彼の頬、首筋に唇を付け、耳たぶを甘噛みする。
ひくっと揺れる魔法使いの身体にくつくつと笑い、その胸で赤く色づく突起を吸う
「は・・・んっ!」
口から出た高い声に自分で驚き、魔法使いは両手で己の口を塞ぐ
「我慢せず、ありのまま声を出したまえよ」
からかうような声音で促されるが、魔法使いはふるふると首をふる。
その間も胸への愛撫は止まらない。ひくひくと跳ねる体にくぐもった吐息が空間に散る
それでも魔法使いは決して声を出そうとしない。
「貴君の意地もどこまで続くかな」
「—!!」
魔法使いの身体が大きく跳ね上がった。ディートリヒの舌が先ほどまでの胸への愛撫で頭をもたげていた魔法使いの敏感な中心を舐めあげたのだ。
そのまま咥えられて魔法使いの身体が粟立つ。正真正銘の初めての感覚から逃れようと口を塞いでいた両手でディートリヒの頭を押しのけようと腕を突っ張る
「・・・ん、ああああ!!」
それと同時にディートリヒが強めに吸い上げ喉の奥から嬌声が漏れた
「や・・あ、あうっ あ、あ、はぁっ・・ん!」
一度声を出してしまうと、もう抑えることは叶わず、ディートリヒの与える刺激に呼応するように喉から溢れだして止まらない。
押しのけようとしていた手はいつしかディートリヒの頭を股間に押し付けるように縋りつき腰がゆらゆらと快感を求めて揺れていた。
やがて快楽は頂点に達し、魔法使いの腰がひときわ大きく痙攣した。
ディートリヒが顔を離し、右手ですりあげると魔法使いは甘い声と共に熱を吐き出した
荒い息をつき脱力した魔法使いを満足げに見下ろし、ディートリヒが己の軍服を寛げる
痩身ではあるものの、形よく筋肉のついた肢体。
快感で生理的に零れ落ちた涙で霞んだ視界に映るそれをぼんやり見ていた魔法使いの目が見開かれる
「力を抜きたまえ」
後ろのつぼみに己の放った白濁を塗り付けられる感触に身体が恐怖に震える。
いやいやと首を振り、力の入らない腕を必死に持ち上げ己の両足を抱え上げる痩身の胸に突っぱねる
その様子にディートリヒの顔にまるで捕らえた獲物を嬲るような笑みが浮かび上がる
後ろに固く熱い感触、びくっと魔法使いの身体がこわばる
「う・・・あ、あ、痛・・・あ・・・」
めりめりと侵入してくるその質量と痛み。そして—
「あああああ!!!」
一気に突き刺される灼熱。身を割かれるかのような激痛に魔法使いは悲鳴を上げた。
「だから力を抜けと言ったのだよ」
痛みに涙を流し痙攣する魔法使いの耳元に囁く。
すっかり萎えてくたりとなった魔法使いの中心に指を這わす。
「だが、貴君にも苦痛だけでは・・・な」
ゆるゆると動かせば、徐々に硬度を増していく
「・・・っ あ・・」
前への快楽に身体が震えはじめると、後ろの異物感が少しずつではあるが薄れていった
時折、引き攣れたような痛みは走るが最初の時のような激痛は無い
「あ・・は・・ん あう・・・」
ゆらゆらと揺れ始める肢体。
それまで動かなかった内のディートリヒがゆっくりと動き始めた。
びくりと魔法使いの身体がはねたが、苦痛の表情は浮かべなかった。そのまま前後に動く
「あう…あ、あ、 あ・・んっ」
後ろに快楽は感じられないが、前の愛撫で痛みを忘れるくらいの快楽は得られるようになった魔法使いの喉から甘い喘ぎが漏れ始める。
やがてディートリヒの動きも大きくなる。固く育った魔法使いの中心の先から白い滴がぷつりと湧き出す
ディートリヒの腰が角度を変えて擦りあげた
「ああうっ!!」
途端にこぼれる艶の混じった魔法使いの声。同じところを穿つと魔法使いの身体がひくひくと痙攣し高い喘ぎと共に恍惚の表情を浮かべる
「ここが貴君のイイところのようだ」
にやりと笑みを浮かべ、その場所を激しく突かれる
「やぁぁ!あ、あ、あああ!・・・あうっ!」
ディートリヒは脳天を突き抜ける激しい快楽をなんと逃がそうとシーツを必死につかむ魔法使いの腕を己の背に回させた。途端にしがみついてくる自分より小さな身体。
甘い熱に溺れ、うわ言のようにもっと、もっとと喘ぐ様に胸の奥で何かがちりっと灯る
なんだ?
ついぞ経験したことのないその感覚、正体のわからない感覚に多少のイラつきを覚え、魔法使いを抱く腕に、動きに力がこもる。快楽を得る術を見つけた魔法使いは多少の乱暴な扱いにも順応し喉からは快楽の喘ぎだけしか紡がない。
「やぁっ!・・もう・・・もう・・っ!・・・は、ん・・・!」
せっぱつまったような魔法使いの声。大きく腰を引き、そのまま最奥を突き刺した
「あああああああ!!!」
同時に前を強くこすりあげてやる。ひときわ大きく啼いた彼はびくびくと己の熱を互いの腹の間にこぼしながら脱力した。彼の中に注がれるディートリヒの熱と引き抜かれる感触にひくっと身を震わせた
荒い息をつき、ぼんやりと淀んだ目で見つめてくる魔法使いに声をかける
「・・・眠りたまえ」
その言葉に答えたのか、どうなのか 魔法使いの目がふ・・と閉じられた。
やがてかすかな寝息が聞こえ始めた。
彼にとっての数日ぶりの安らかな眠りだった。
眠りに落ちた魔法使いの身体にシーツをかけ、軍服を着るとディートリヒは部屋を出た
ディートリヒにとって他人とはそこにある物と同じだ。
役立てば身近に置き、無駄ならば捨てる。物に使用用途以外の関心はないし、執着も無い。
だが、あの魔法使いに対しては拘る自分がいる。
確かに彼は役立つ。戦いに必要なのだから関心があるのだが、それとは違う執着を感じるのだ。
先ほどの行為の時に胸の奥でちりっと灯ったものはなんだったのか・・・
わけのわからないものの正体をつかみかねて鼻を鳴らす
「貴君と共に行動していればわかるのだろうか」
魔法使いの眠る部屋を振り返り、ディートリヒは彼らしからぬ戸惑いを含んだ声音で呟いた。